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  • odawaraetsuko1

作業としての刺繍とガーデニング

2024/04/08

前回のブログで,サクラさんが耳下腺がんの回復期に経験した

大切な作業「刺繍」と「ガーデニング」について書きました.

ガンの回復期で行き止まり状態に苦しむサクラの復活を支えたのが

これらの作業です.

どのように支えたのかを作業の見方で,以下の角度から見ていきたいと思います.


刺繍をする・ガーデニングをするという作業の形態,

その作業の機能,

その作業の意味です.


これらの作業を広い視野で見る(俯瞰する)ために,行き止まり状態でサクラが刺繍をしているのを想像してみましょう.


作業としての刺繍とガーデニング



状況:

サクラは50代まで仕事と子育てで忙しく過ごしました.

やっと仕事が一段落して,4人の子どもたちが独立したときに,

耳下腺ガンが見つかりました.

楽しみにしていたガーデニングは始められませんでした.


ガン切除術,移植術,放射線治療を受け,体重は10㎏低下し体力は消耗しました.

自宅に帰ったときは,寝たり起きたりでした.

移植部分は常に痛みがあり今も変わりません.

サクラは病気の予後や将来が不安で,嫌な考えに悩まされました.

不安と痛みで気持ちが落ち着きません.

体調不良でも,ゆっくり寝てはいられませんでした.

回復期の病気や将来への不安,痛み,体調不良,そこから来る焦燥感が

サクラに対する環境からの挑戦です.

ここから,刺繍とガーデニングを使って,環境にパンチします(立ち向かいます).


作業の形態:

痛みや不安に悩んだサクラは,気持ちを紛らわせるために,手を動かそうとしました.

ポーチにプリントされた花や葉っぱに刺繍しました.

体調不良ですぐに疲れるので,疲れたら刺繍を止めて横になりました.

刺すと休憩を繰り返しました.

明日も刺繍しようと思って眠りました.

数週間繰り返すとポーチや布袋が出来上がり,

サクラは喜んで家族や友達や職場の同僚にあげました.


体調がよくなってくると,庭に出て草木の世話をしました.

季節ごとに鉢植えを職場に持っていき枯れたら持って帰って世話をしました.

近所の人がサクラの庭の花に癒されると褒めると喜びました.

切り花を届け,感謝されました.

近所の人たちとも交流するようになりました.


サクラは3世代で住んでいます.

若い孫たちとは食べ物や生活パターンが違いすぎるので,

サクラは一人で食事をし,静かな時間を過ごします.

現在は,晴れれば庭に出て,雨が降ったら刺繍を楽しんでいます.


作業の機能:

サクラは回復期の苦しかった状態を  「行き止まり」と表現しました.

サクラは体調不良,移植部の痛み,病気の不安のために,

これから自分は何ができるのか見通せず,

どのように生きていけばいいのかわかりませんでした.

突然人生の行き止まりを経験したのです.


さらに,サクラはその後の彼女の経験を「復活」と表現しました.


作業としての刺繍の効果

サクラは不安や痛みから逃れたい,どうにかしたいと焦る気持ちから,

忙しく手を動かして気を紛らそうとしました.

体調がよくなくても可能な作業を選びました.

刺繍で針を刺すことに意識を集中すると痛みや不安を忘れられた.


刺繍に従事した結果が作品となり,サクラが生きた証明となり,

彼女自身の可能性,明日への希望,安心感,positivityをもたらしました.

刺繍は,サクラが先を楽しみにするのを支えました.

何かを楽しみに生きることを支えました.


刺繍に従事したという経験が,明日も作業することを楽しみにさせ,

サクラは安心して眠りました.

刺繍をしたという経験が,サクラに明日も刺繍をしている自分を

想像することを可能にさせました.

続けることで,サクラはさらに次の日も生きることに希望を持ちました.

このようにして刺繍という作業はサクラを明日へ向かって生きるように支えました.



作業としてのガーデニングの効果




草木を世話することには,刺繍と

同じようにサクラを忙しくさせ,

痛みや不安を忘れる効果がありました.


サクラは,草木の生きる力にも元気づけられました.


回復期のサクラは

交流が少ない生活を送り,

自分の病気,特につらさや痛みに

ついては人に話しませんでした.

作った刺繍の作品と育てた花を届ける

ことで,自分が望むように

人々との交流を広げていきました.

ガーデニングがサクラの社会的な復活を

支えました.


刺繍とガーデニングという作業は,

どのように生きようかと苦しむ

サクラを明日に向かって,

そして,社会の中で

復活するように支えました.

これがその効果です.






作業の意味:

ガンの回復期で人生の行き止まりに苦しむサクラの復活を支えるという

意味があります.


回復期中はまだ苦しいけれど,

刺繍に従事した経験は,

明日刺繍をしている自分を想像させ,

生きる希望を実感させる

という意味があります.


草木の世話をしながら,

サクラは生きるように草木に元気づけられました.

復活の象徴である刺繍作品や花を通して交流することは,

社会に対して復活を表現すること,

さらに,サクラ自身が社会的復活を確認するという意味があります.

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