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作業としての家族の食事

odawaraetsuko1

2025/02/03

前回は,友人の百合がインタビューで話してくれた,家族の食事についての話を伝えしました.百合は結婚後,彼女の遠距離通勤と夫の12時間勤務のために,すれ違いの多い生活になりました.

二人は協力して夕食を準備しました.ご飯を食べながら,二人はリラックスし,生活の細々や出来事について話し合いました.毎日毎日一緒に食事をしながら,二人はお互いに理解し,家族になっていくことができました.

みなさんはどのように食事を準備し,誰と何をしながら,ご飯を食べていますか?

今日は以下の角度から「家族の食事」という作業の見方をお伝えしたいと思います.

作業としての「家族の食事」の形態,

その作業の機能,

その作業の意味

「家族の食事」を大きな視点で(俯瞰して)見るために,百合の毎日の生活と食事を見てみましょう.



作業としての家族の食事


状況:百合は病院勤務の作業療法士として働き,親元に住んでいた.30代後半で結婚したとき,自分のキャリアを続けるつもりだった.しかし結婚すると,百合は片道2時間半の遠距離通勤になり,12時間勤務の夫とはすれ違いが多かった.


環境の挑戦:二人は仕事の都合で一緒にいる時間をなかなか確保できなかった.新しい生活をつくろうとする二人にとって,すれ違いの多い生活は重大な環境の挑戦となった.


作業の形態:百合は遠距離通勤のために帰宅が遅くなり,夕食の準備はむずかしかった.夕飯をカレーに決めると,夫にメールで下ごしらえを頼んだ.夫は指令通りに野菜と肉を切り調理を開始し,帰宅した百合が仕上げるというスタイルになった.二人で作った夕食を一緒に食べた.一緒に作った夕飯を食べながら生活の細々した予定や日々の出来事を話した.百合は新しい生活が出来上がっていくのがうれしかったし,夫と食べていると,安心だった。百合は食事を重ねながら家族になることを実感し,幸せだった.百合は,子どもの頃に母が家族がそろって食事をすることを大切にしていたことを思い出した.百合は自分が母と同じように食事を通して家族を作っていることに満足した.


作業の機能:結婚した百合と夫は新しく生活を築こうとしていたが,仕事の都合で,二人が一緒に過ごす時間は制限されていた.百合は夕食をカレーに決めると,夫にメールで料理を始めるように頼んで,帰宅してから仕上げた。二人で食べながら日々の出来事やこれからの生活について相談し,おしゃべりを楽しんだ.二人で食事を準備し,一緒に食べる間に,二人は交流を深めた.そうすることで,互いの理解を深め,生活や将来について一緒に決めることが可能になった.共同の作業が安心感と,一緒にいる満足感をもたらした.食事が豪華でも質素でも,満足できるものでもそうでなくても,そんな家族の作業を積み重ねることが,新しい家族として落ち着いていくことを可能にする.そして,家族としてお互いに所属することを可能にする.


作業の意味:百合にとって,家族の食事を積み重ねることは家族を作ることである.そして,家族としてお互いに所属することが可能になる.百合に安心感と幸せをもたらす.一緒に食事を準備し食事をすることは,二人にとって,安心し,活発になり,互いを良く知り,交流する,作業的場所を作ることである.


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