作業としての家族団らん
2025/01/06
前回は和也のストーリーを書きました.
和也は大学に勤務し仕事中心の生活を送り,家事も子育ても妻任せでした.
気づくと,子どもたちはいつの間にか成長していた.
彼は子どもたちの成長はうれしかったが,子どもたちとかけがえのない時間を
共にしなかったことを後悔しました.
今後は子どもたちが自立するまで成長を全力でサポートしたいと思っています.
和也はどのように家族との時間を過ごすでしょう?
みなさんもどのように家族と貴重な時間を過ごしているか考えてみましょう?
今日は,以下の角度から家族の作業の見方についてみなさんに
お伝えしたいと思います.
作業としての家族団らんの形態,
その作業の機能,
その作業の意味
家族団らんを大きな視点で(俯瞰して)みるために,和也と家族の過ごし方を
みてみましょう.
状況: 和也はアラフィフ男性,大学教員である.
専業主婦の妻と3人の10代の子どもがいる.
和也は早朝から夜遅くまで一年中仕事を頑張っているから,子どもたちと過ごす時間を
十分に取れないことが,和也が受けた環境の挑戦です.
男たちはそのように働くものだといわれる日本社会の文化的価値観に,和也は明らかに
影響されています.
彼は子どもたちと一緒に過ごしたいけれど,夫や父親に対するこのような社会からの
期待に応えなければなりません.
作業の形態:和也は平日も週末も仕事のために忙しく,家族と一緒に過ごすのは
年に数回だけであるが,家族を経済的に支えるために,全力で働くことが自分の
責任だと和也は考えている.
彼の妻は家事育児を担当し,子どもたちと和也の仲介を果たし,和也には
子どもたちのことを話し,子どもたちには父親のことを話す.
家族のために和也の力が必要な時は妻からお呼びがかかるので,和也は役割を果たす.
和也は子どもたちと一緒に過ごす時間はあまりないことを残念に思っているが,
子どもが自立するまでは子どもたちの成長をサポートするために今と変わらずに
仕事中心の生活を続けるつもりである.
作業の機能:家族は一緒に過ごして,家族というコミュニティーに所属し一体感を持つ.
家族たちは安心し,満足し,幸せを感じる.
親にとって,そんな家族団らんの時間には,家族の一体感を経験し,子どもたちの成長
を実感するという効果がある.
和也はこれまで子どもたちと過ごす時間がなかったことを後悔した.
和也の仕事中心の生活には家族との団らんの時間はほとんどないが,家族の稼ぎ頭
として仕事の責任を果たし,家族の生活費や教育費用を稼いできた.
これは,ほぼすべての社会における長年の伝統的な男の役割である.
和也は,子どもたちが自立するまで成長を支えることが父親の役目だと考えている.
子どもたちと一緒に過ごす時間を満足に取れないことは決してよいことではないが,
和也と家族にとっては現実の世界である.
彼は家族の仲介役である妻と協力して子どもたちを支えながら,家族への所属感を
感じている.
和也は実際に,日本社会の文化的な期待を受け入れ仕事中心の生活を送っているので,
家族の団らんを楽しめない.
しかし,彼は日本スタイルの働き方で家族の一体感と所属感を感じている.
作業の意味:家族の団らんを通して,人の生活は幸せで,意味のあるものになる.
日本社会には仕事中心の生活を期待する文化があるので,和也は家族団らんに
恵まれない.
しかし,これが和也と家族にとっての現実である.
和也は家族の生活と子どもの教育を支えるために懸命に働く.
そして家族の仲介役である妻と協力して必要な時は父親役をこなしている.
これが和也に家族への所属感と全員との一体感をつくり上げている.
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