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  • odawaraetsuko1

社会参加とコミュニケーション

2024/08/29

友人の啓子さんが重度障害のある娘の話をしてくれました.娘の美優は18歳,

日常生活のために多くのケアを必要とします.

人懐っこく,人々とのコミュニケーションが大好きです.

本日は美優を頑張って介護してきた啓子が,どのように,美優の社会参加を

支えようとするのかを伝えたいと思います.

次回は,作業としての社会参加とコミュニケーションについて,その作業の

力と意味を考えます.


社会参加とコミュニケーション


                美優とヘルパーさん


啓子は50代女性,夫,子ども3人と暮らしています.

啓子が娘の美優について話してくれました.美優は18歳,先天性の二分脊椎症の

ため両脚が麻痺し移動が困難です.

日常生活のために多くの支援と医療的ケアが必要です.

明るく,人懐っこく,おしゃべりが大好な女の子です.

美優は,今年3月に特別支援学校を卒業しました.

現在は週4回シェルターに通うのを楽しんでいます.

一つのシェルターではタオル畳みの軽作業をして,他に週1回別のシェルターで

リハ訓練を受けています.

彼女は人々と交流するのが大好きですが,思考は浅く,判断には限界があります.


美優は自宅ではいざり移動ですが,ベッドの移乗,入浴には介助が必要です.

美優が生まれてから,啓子が,ずっと介護をしてきました.

娘の介護のために身体を酷使してきたので,この数年腰のヘルニア,膝,肩,肘の

痛みに悩まされています.

一人で世話することが困難になったことに気づいています.

今年の5月から,介護サービスを使い始めました.

ヘルパーがシェルターから帰宅した美優を室内に移乗してくれます.

啓子は期待した以上に楽になりました.

次に入浴介助のサービスを使うことに決めました.

介護サービスのお陰で啓子はずいぶん楽になり,いつまでも娘の世話を

続けられないことに気がついたのです.

啓子は,美優には美優の人生があると考え始めました.

美優が社会に出るように,自分が行動を起こさなくてはならない.

娘の美優のためにグループホームを探し始めました.


美優が大人の生活をはじめるために,啓子にはもう一つ気がかりなことがあります.

人と交流することは美優の大好きな作業です.

美優はいつもニコニコして人と積極的に交流して,一緒に笑うのが大好きです.

学校で美優は積極的に発言するリーダー的な存在でした.

今,訪問看護ステーションやシェルターではムードメーカーです.

新しく来た研修生が緊張していると,美優は先輩のように話しかけ学生の緊張を

和らげてしまいます.

もう一つのリハ中心のシェルターでも,美優は利用者やスタッフに積極的に

話しかけます.

ある新米の利用者さんがあまりにも落ち込んで,孤立して,他の利用者たちも,

スタッフも話し掛けられずに困っていると,美優は親しげに話しかけてすぐに

親しくなり,まるで仲のよい祖父と孫のようになっています.


啓子は美優が大人の生活を始めるのを助けようと決めました.

美優もずっと親と暮らすより,友達と暮らす方がいいと言います.

しかし,美優は,周囲の人たちと楽しもうとして,状況に合わない言動を取ること

があります.

例えば,家族の誰かの足が臭いことを冗談にして家族で笑うのは大丈夫ですが,

家族以外では笑えないことです.

美優には,そのような社会的状況がわかりません.

啓子は,美優が将来社会の人々に受け入れられないのでないか,嫌われるのでは

ないかと心配しています.

啓子は,娘の美優が親元を巣立って社会に出ていけるようにサポートするのは

自分の役割であり責任であると考えています.

グループホームを探し始めましたが,医療的ケアを必要とする美優を引き受けて

くれるグループホームはまだ見つかりません.

しかし,啓子は時間をかけて,娘が大人としての生活の場所を見つけるのを

支え続けるつもりです.


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