作業的写真プロジェクト
作業とは
私たちは毎日いろいろなことをして生きています。「日常的にすること」を、「活動」と言ったり、「作業」と言ったりします。ここでは「作業」という言葉を使います。
作業なしには、我々は生きていけません。
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作業はパンチのようなもの?!
自分が日常的にしていることを考えてください。
我々は日々いろいろな作業をしています。
作業が健康に影響することを否定する人はいないでしょう。
でも、作業と健康の関係ってどうなっているのでしょう?
単純ではありませんね。我々は環境からの挑戦に立ち向かい、良い状態になろうと、作業を通して立ち向かうと作業科学の先人たちは言いました。
作業は、我々が環境の影響を受けながら、何とか良い状態になろうと繰り出すパンチのようなものだと私は考えています。
我々は、良い状態になるために、作業を選び、前向きに、柔軟に、活動的に立ち向かい、パンチを繰り出し続け、生きていきます。
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作業は社会や文化の影響を受けている
このように生活や人生で繰り広げられる作業は、複雑です。
我々は作業を積み重ねて人生を作っています。どのように作業を選択するかはどう生きるかに確実に関わっています。
我々の作業は、住んでいる社会や文化の影響を受けています。子供たちがどんな仕事にあこがれ、実際に選択するのかもその社会や文化の価値観が影響すると考えられるでしょう。
あまりにも当たり前なので意識していませんが、作業はとても社会や文化の影響を受けています。
日常の作業のひとつである食事を考えると、国や文化、地域、年代、時代背景によって、ずいぶん異なります。
テーブルについてナイフとフォークを使って食べるのも食事です。畳に正座して茶碗と箸で食べるのもありです。胡坐で皿の食べ物を手ですくうスタイルもありです。
旅も考えてみましょう。新幹線で遠くに移動する今のスタイルと比べると、200年前の駕籠(かご)か歩きの伊勢参りはずいぶん貴重な機会だと考えられます。
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作業を通してアイデンティティをつくり上げる
人は誕生以来、色々な作業を通して、成長し、社会に参加し、生活をつくり、アイデンティティーをつくり上げます。
お母さんになったり、お父さんになったり、お兄ちゃんになったり、リーダーになったり、歌手になったり、野球選手になったり、作業療法士になります。自分になります。
このような内容に興味のある方は、小田原悦子著「作業的写真プロジェクトとは」(幻冬舎)を手に取ってください。
作業の形態・作業の機能・作業の意味
作業的写真プロジェクトでは、私が、あなたが、親しい人がどのように作業的存在であるのかを理解しようと試みます。そのための実践であり、努力です。頑張りましょう。そこで、理解を深めるために頼りにするのが、作業科学が研究を深めてきた、作業の形態、作業の機能、作業の意味(Larson、 Wood & Clark、 2003; Clark、 & Larson、 1998)という視点です。
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作業の形態とは
作業の形態とは、作業の観察可能な側面を言います。
人間が作業しているとき、時間、空間、方法、環境との関係がどうなっているのかという、作業の客観的な側面です。だれが、いつ、どこで、何を、だれと、どのようにするのか、どのくらいの期間、どの頻度で、などがあります。
作業の機能とは、作業の効果、力、影響を指します。作業が健康・ウェルビーングの向上に役立つか、つまり、作業の健康を促進する力、効果です。健康は病気がないという狭い意味ではなく、もっと広い意味で人間の存在を示します。作業は多様なレベルで我々の健康に影響しますから、作業の機能は様々に表現されます。
成長、発達、能力やスキルの向上、コントロール、達成感、充実感、サバイバル、満足感、リラックス、気晴らし、役に立つ、他者との交流、所属、協力、調和、自分の確認、人間関係の構築、共感、安心、安全、価値の継承、新生活の構築などは、ポジティブな効果です。退屈、不満感、停滞、うつ、不安、絶望が反対の方向にあります。
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作業の機能とは
作業の機能とは、作業の効果、力、影響を指します。
作業が健康・ウェルビーングの向上に役立つか、つまり、作業の健康を促進する力、効果です。
健康は病気がないという狭い意味ではなく、もっと広い意味で人間の存在を示します。作業は多様なレベルで我々の健康に影響しますから、作業の機能は様々に表現されます。
成長、発達、能力やスキルの向上、コントロール、達成感、充実感、サバイバル、満足感、リラックス、気晴らし、役に立つ、他者との交流、所属、協力、調和、自分の確認、人間関係の構築、共感、安心、安全、価値の継承、新生活の構築などは、ポジティブな効果です。退屈、不満感、停滞、うつ、不安、絶望が反対の方向にあります。
もっとあるでしょう。
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作業の意味とは
作業の意味とは、作業をする人にとって、その作業はどんな意味があるのか、価値があるのか、大切なのか、印象的なのか、その人の住む社会や文化ではどうなのかを指します。
例えば、長いこと大切にしてきたぬいぐるみは、意味のある持ち物と考えられます。印象的な冒険をした夏休みは意味のある夏休みと言えるでしょう。意味は我々の作業が作業を選択するときに大いに影響すると考えられます。
例えば、脆弱な母親と同居する家族は、安心のために、山間部より、介護や医療サービスを受けやすい都市部の生活を選ぶことが考えられます。
作業は様々な種類があって、表情も多彩で、複雑です。作業は変化しながら、我々の生活と人生をつくり上げ、健康に大きく影響すると考えられます。
小田原悦子著「作業的写真プロジェクトとは」(幻冬舎)に詳しく述べました。興味のある方はそちらもチェックしてください。